業種
飲食業
所在地
九州地方
ご相談内容
退職した従業員から未払い残業代として100万円を超える金銭を請求されました。
弊所では固定残業代を導入していますが、相手方は就業規則上の固定残業代制に関する規定が不適切であると主張しているようです。
今後の対応についてアドバイスをお願いします。
弁護士のアドバイス
就業規則や給与明細を確認したところ、「固定残業代は業務手当として支払われていた」などの主張を行うことにより、相手方の請求を減額できる余地があります。
こちらの主張に基づいて残業代の再計算を行い、支払うべき残業代の減額を求めましょう。
ご依頼いただいた結果
残業代を計算しなおしたところ、支払うべき残業代は相手方が主張する金額の約4分の1が妥当であるという結論に至りました。
そこで、算定表を付して相手方と文書による交渉を行った結果、こちらの主張とほぼ同じ金額で和解が成立いたしました。
ご依頼から約3か月での解決でした。
その後、今後同様のトラブルが発生することを防ぐために顧問契約を締結したいというご連絡をいただき、10万円のプレミアムプランでご契約いただきました。
弁護士のコメント
固定残業代制とは
従業員に時間外労働をさせた場合には、原則として、労働基準法に基づき割増賃金を支払わなければいけません。
もっとも、基本給の一部や特定の手当を固定残業代として支給するという取扱いをすることがあります。
このような固定残業代制は、毎月の割増賃金を計算する必要がなくなる点で会社にとっては便利ですが、トラブルに発展しやすい制度でもあります。
明確区分性
最高裁判所の判例によると、固定残業代制を導入するときは、労基法所定の割増賃金が支払われているかどうかを判定するために、少なくとも、割増賃金に相当する部分とそれ以外の部分が明確に区別されていなければならないとされています。
この要件は、一般的に「明確区分性」と呼ばれます。
会社としては固定残業代制によって十分な残業代を払っているつもりでも、就業規則や雇用契約書の規定ぶりから明確区分性の要件を満たさないと判断された場合には、固定残業代制による残業代の支払いは認められず、改めて多額の残業代を支払わなければならなくなります。
今回の事案
今回の事案では、相手方からの残業代請求に対して、「就業規則に固定残業代制に関する適切な規定があり、それに基づいて残業代は手当として適切に支払われていた」という趣旨の主張をし、訴訟も辞さない構えで交渉を行いました。
それにより、ほぼこちらの主張を認めさせる形で合意が成立いたしました。