採用時にワクチンの接種状況を確認することは問題ですか?たとえば採用面接でワクチン接種の有無を聞いたり、ワクチン接種証明書の提出を採用条件にする運用は適法でしょうか?

弁護士小林

面接の段階でワクチン接種の有無を確認すること自体は問題ないと思われます。

ただし、ワクチン接種の有無はプライバシー性が高い情報ですので、あくまで任意で回答を求めているというスタンスを示して質問をすべきでしょう。

そして、ワクチン接種証明書の提出を採用条件とすることは、実質的にワクチン摂取の有無について強制的に聞き出している状況と同視できるため、避けるべきです。

また、ワクチンを接種していないことを理由に不採用とすることは不適切な取り扱いと評価される可能性が高いです。

ワクチンを接種するかどうかは個人の自己決定権によるものです。

自己決定権に基づいた行為に対して不利益な取り扱いをしてしまうと、取り扱いを受ける側としては、不利益な取り扱いを避けるために自由な自己決定をすることができないということになってしまいます。

そのため、ワクチン接種の有無という事情を、採用・不採用を左右する事情とする運用は不適切です。

また、ワクチン接種の有無について質問していただく際には、接種の有無によって採否に影響するわけではないというニュアンスで質問する程度に留めていただくべきです。

ワクチンの接種証明の提出についても同様で、採用の条件とすることに関しては、やはりプライバシーと自己決定権の関係から基本的には避けるべきだと思われます。

ただし例外として、医療機関など接種の必要性が高い一部の業種では、ワクチン接種の証明書の提出を求め、接種を受けていない人の採用を拒むことが認められると思います。

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