景品表示法のポイント
景品表示法(景表法)とは、消費者が商品やサービスを購入するときに自主的で合理的な選択ができるよう、不当表示や過大な景品付き販売などを禁止する法律です。
「消費者の自主的で合理的な選択」とはどういうことでしょうか。
消費者は誰しも、必要性、予算、好みなどに応じて、安くて良い商品やサービスを購入したいと考えています。
ところが、もしカシミヤ100%と表示されているセーターが実際には50%だったり、ガムの売り込みのために1000万円の賞金が付けられていたりしたら、消費者は自主的で合理的な購買行動ができなくなってしまいます。
そこで、景品表示法は、商品・サービスの品質、内容、価格などを偽って表示したり、過大な景品類が提供されることを規制することにより、商品等の品質や価格に関する正確な情報に基づく商品選択を可能とし、これによって消費者の利益を保護することを目的としています。
中小企業と景品表示法
景品表示法が規制の対象とする「表示」には、商品のパッケージ、店内ディスプレイ、ラベル、パンフレット、チラシ、新聞広告はもちろんのこと、テレビやラジオのコマーシャル、訪問販売や電話によるセールストーク、インターネット広告など、顧客を誘引するためのあらゆる手段が含まれます。
つまり、規模の大小を問わず、消費者に対する広告活動を行う企業は全て景品表示法の規制の対象となります。
景品表示法の規制
景品表示法による規制は、
- 不当表示の禁止
- 景品類の制限及び禁止
の2つに分けられます。
不当表示
「不当表示」とは、商品やサービスの品質や価格について消費者に誤認されるおそれのある表示をいいます。
不当表示は、さらに①優良誤認表示、②有利誤認表示、③その他誤認されるおそれのある表示の3つの類型に分けられています。
景品類の制限及び禁止
「景品類の制限及び禁止」は、①一般懸賞に関するもの、②共同懸賞に関するもの、③総付景品に関するものの3つに分けられており、それぞれにおいて消費者に提供できる景品の限度額が定められています。
景品表示法に違反するとどうなる?
外部からの情報提供や公正取引委員会等が自ら調査・把握することによって景品表示法違反の疑いがあるとされると、公正取引員会、消費者庁、都道府県知事などによる調査が行われます。
調査の結果、違反行為であると認められると、指導または措置命令がなされます。
措置命令とは、違反行為の差し止めや再犯防止策の実施などを命ずる行政処分です。
さらに、平成28年4月以降は優良誤認表示と有利誤認表示が課徴金の対象となりました。
最後に
このように、景品表示法は企業が日常的に行ってしまう可能性のある広告活動が規制の対象とされており、中小企業にとっても他人事ではありません。
景品表示法に違反すると、措置命令や課徴金の対象となりえるばかりか、大切なお客様との信頼関係を失ってしまうことにもなりかねません。
「この広告は本当に大丈夫なのだろうか」、「問題なのではないだろうか」という疑問を抱いたら、お気軽に弁護士にご相談ください。