中小企業だからこそ顧問弁護士が必要な理由
「うちは中小企業だから、顧問弁護士なんてまだ必要ありませんよ。」
顧問弁護士のご提案を差し上げた経営者様からよく耳にする言葉です。
「中小企業には顧問弁護士は必要ない」とお考えの方は少なくありませんが、本当にそうでしょうか?
顧問弁護士は、企業規模が一定以上になったときにはじめて必要になるものなのでしょうか?
東京都では中小企業の40%が顧問弁護士を活用
日本弁護士連合会が2017年に発表した『中小企業の弁護士ニーズ全国調査報告書』によると、福岡県内の中小企業で「顧問弁護士がいる」と回答した企業は全体の20.0%、「相談できる弁護士・顧問弁護士がいる」と回答した企業も35.6%にとどまっています。
一方、東京都では「顧問弁護士がいる」企業は全体の40.0%、「相談できる弁護士・顧問弁護士がいる」企業は59.3%で、東京都では福岡県と比べて格段に顧問弁護士が広く活用されていることがわかります。
私たちは、「中小企業だから、顧問弁護士はまだ必要ない」のではなく、「中小企業だからこそ、顧問弁護士が必要である」と考えています。
「ヒト」の悩みを解消できる
弁護士として多くの企業の経営者様と関わっていると強く実感するのが、「労働問題は中小企業の経営者にとって共通の悩みである」ということです。
問題社員の解雇、突然の残業代請求、雇用契約書や就業規則の作成、労働関連法規の改正など、問題は尽きません。
その理由は、人事や労務の問題は企業の規模と関係なく発生するからです。
なるべく早く問題の芽を摘みましょう
労働問題は、従業員を1人雇った時点で重大な経営課題の一つとなります。
一定以上の規模の会社であれば専門の人事部、あるいは法務部が労働問題に対処することができます。
しかし、中小企業では全てが経営者様の肩にかかってきます。
不用意に解雇した従業員から多額の慰謝料や未払い賃金を請求されるようなことになれば、会社の存続が危ぶまれる事態にもなりかねません。
顧問弁護士がいれば、些細なことでも電話やメールですぐに相談することができ、事態が大きくなる前に問題の芽を摘むことができます。
いつの間にか取引先より不利な立場に立たされていませんか?
労働問題と並んで中小企業の経営者様からご相談いただくことが多いのが、契約書に関する問題です。
「会社名義で契約を締結したことは今まで一度もない」という経営者様はいらっしゃらないでしょう。
労働問題と同様に、契約の問題も全ての企業が抱える課題です。
「取引先から提示された契約書をよく確認せずにサインしてしまい、いざというときに不利な立場に立たされてしまった。」
中小企業にありがちな法律トラブルの一例です。
契約関係で優位に立てる
契約書はどちらか一方の当事者に有利なように作ることができます。
ですので、多くの企業は顧問弁護士のアドバイスのもとで万全の契約書を作成して取引先に提示しています。
事実、私たちがクライアント様から契約書の作成やリーガルチェックを依頼されたときには、クライアント様になるべく有利になるように一つ一つの条項を検討します。
相手方が提示してきた内容をよく確認せずに契約を締結すれば、どのようなリスクがあるかは明らかです。
契約関係の優劣を決めるのは、法律や契約実務に関する専門知識であり、企業の規模ではありません。
顧問弁護士がいることで、契約の専門家である弁護士によるチェックをいつでも受け、取引先と対等な契約関係を実現することができます。
「トラブルが起きてから」ではなく「トラブルを起こさないために」
多くの方は、「弁護士はトラブルが起きてから依頼するもの」という誤解を持っています。
これは「歯医者は歯が痛くなってから行くもの」という誤解と似ています。
もちろん、会社に痛みが生じたときにその解決のために全力を尽くすことは弁護士の重要な役割です。
しかし、「痛くなる前に治療をする」ことこそ、顧問契約を締結していただいたクライアント様に提供すべき本当の解決である。
そう私たちは考えています。