中小企業と独占禁止法
制度
かつて独占禁止法は大企業を中心に適用されてきましたが、近年では、中小企業においても、摘発事例が見受けられます。
中小企業が独占禁止法違反で摘発された場合、課徴金という形で財産的な損害を被るだけでなく、社会的信用を失うことにもつながります。
具体例
- ライバル企業等との接触
- 多くの同業者が参加する懇親会において、「値上げしよう」「賛成」というように、同業者間で価格に関する情報交換が行われ、その後に、各社が同様の行動をとった場合
→暗黙の合意があったものとして、独占禁止方違反とされるおそれがあります。
- 業界団体の活動の場面
- 業界団体の委員会で、毎月、各社の製品ごとの生産量、出荷量、販売額等を報告し合っている場合
→直近の各社の製品ごとの生産量、出荷量、販売額等を報告し合うことは、カルテルと認定され、独占禁止法違反とされるおそれがあります。
- 組合活動の場面
- 協同組合の活動で、価格や生産量について話し合っている場合
→独占禁止法が定める要件を備え、法律の規定に基づいて設立された組合の行為については、独占禁止法の適用が除外されますが、価格や生産量について取り決めたり、調整を行うことは独占禁止法違反となるおそれがあります。
独占禁止法に違反しないために
独占禁止法に違反しないためには、次の点に注意が必要です。
競合他社との情報交換に注意
ライバル企業や業界団体での情報交換、特に、価格に関する情報の交換には注意が必要です。
特に、業界団体の活動の場で、価格や数量に関する取り決めを行ってはいけません。
組合の活動についても、活動可能な範囲を意識しましょう。
日頃からコンプライアンスへの意識を高める
気になる点、不安な点がある場合には、速やかに、専門家である弁護士に相談しましょう。
日頃から、弁護士と協議し、コンプライアンスに対する意識を高めることが、会社や従業員を守ることにつながります。