多くの経営者は、自社の経営権・支配権を維持するためには、自社株式をできるだけ多く保有すべきと認識されていると思います。

まさしく、そのとおりです。

他方で、どれだけの株式を持っていれば何ができるのかについてまでは、ご存じない方も多いと思います。

そこで、以下では、株主が行使できる権利を行使するためには、発行済み株式全体の何割分の株式、あるいは何株の株式を持っている必要があるかについて解説いたします。

保有割合が1株以上(保有期間:-)

権利

①議決権

総会で決議に表を入れる権利

②議案提案権

すでに総会のテーマになっているものについて、議案を提出する権利
例)取締役の選任というテーマに対して、最初は提案されていなかった「Aを取締役に選任する件」という議案を提出する

③組織に関する行為の無効の訴えの提起権

“組織に関する行為が無効である”という判決を求める裁判を起こす権利
【組織に関する行為の例】
 ・合併、会社分割、株式交換、株式移転
 ・新株の発行、新株予約権の発行
 ・資本金の額の減少 等

④総会決議取消しの訴えの提起権

“総会決議を取り消す”という判決を求める裁判を起こす権利

⑤募集株式発行の差止請求権

法律違反があることなどを理由に、会社に対して、株式発行の停止を求める権利
 ・会社が株式発行を強行した場合は、以下のような裁判を起こす
 ・“新株発行が無効である”という判決を求める訴えを起こす
 ・取締役などに対して、会社が本来受け取るべき代金額の不足分を会社に支払うよう求める訴えを起こす

⑥各種書類の閲覧等請求権

定款や、総会議事録、貸借対照表、損益計算書などの書類を見せるよう求めたりする権利

保有割合が1株以上(保有期間:6ヵ月)

権利

①責任追及の訴えの提起権

会社に対して、会社が役員などの責任を追求する裁判を起こすよう求める権利

会社が裁判を起こさないまま60日が経った場合は、株主自ら、役員などの責任を追求する裁判を起こすことができる。

②取締役・監査役の違法行為差止請求権

法律違反の行為などを行おうとしている取締役などに対し、その行為をやめるよう求める権利
例)総会決議を経ないで重要な事業を譲渡しようとしている場合に、これをやめるよう求める

保有割合が1%以上又は300個以上(保有期間:6ヵ月)

権利

①議題提案権

ある議題(テーマ)を総会の目的事項に追加することを求める権利
例)総会の目的事項が配当額の決定しかない場合に、これに役員の解任というテーマを追加するよう求める

②総会検査役選任請求権

裁判所に対して、総会の招集手続や決議方法を調査させるために、総会検査役を選任するよう求める権利

総会で賛成票と反対票が拮抗して混乱が生じるような場合に備えて、手続の適正さを調査させるもの

保有割合が3%以上(保有期間:-)

権利

①役員等の責任免除に対する異議権

役員が会社に対して負う賠償責任を取締役会において免除・軽減することとした場合に、そのことに対して異議を述べることができる権利

異議が適法になされた場合、役員の責任の免除・軽減は禁止される。

②会計帳簿閲覧等請求権

会社に対して、仕訳帳(すべての取引を日付ごとに記録したもの)、元帳(すべての取引を売上、仕入、買掛金などの勘定科目ごとに記録したもの)などを見せるよう求めたりする権利

役員が好き勝手なことをしていないかチェックするために、仕訳帳などを確認して、会社の業務状況や財務状況を把握する必要があります。

③検査役選任請求権

業務運営に法律違反があるなどの場合に、裁判所に対して、会社の業務状況や財産状況を調査させるために、検査役を選任するよう求める権利

保有割合が3%以上(保有期間:6ヵ月)

権利

役員解任の訴えの提起権

役員の職務に法律違反の行為などがあったにもかかわらず、総会でその役員の解任案が否決された場合に、その役員を解任する裁判を起こす権利

保有割合が10%以上(保有期間:-)

権利

解散請求権

会社の解散を求める裁判を起こす権利

保有割合が33%超(保有期間:-)

権利

特別決議を単独で阻止できる

【特別決議事項】
 ・定款の変更
 ・事業譲渡
 ・合併、会社分割、株式交換、株式移転
 ・資本金の額の減少
 ・解散
 ・役員等の責任を一部免除する 等

保有割合が50%以上(保有期間:-)

権利

普通決議を単独で阻止できる

【普通決議事項】
 ・配当金の決定
 ・役員の報酬の決定
 ・役員の選任・解任(累積投票により選任された役員の解任を除く)

保有割合が50%超(保有期間:-)

権利

普通決議を単独で成立させられる

保有割合が66%以上(保有期間:-)

権利

特別決議を単独で成立させられる

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