2017年6月3日、改正消費者契約法が施行されました。
今回の改正は、高齢化が進展したことの影響で判断能力が乏しい消費者を相手に事業者がその事情につけこんで不必要なものを大量に購入させる等の消費者被害が多く発生していることから、これに関し蓄積された裁判例の考えを反映させた内容となっております。
今回は改正の重要なポイントを解説します。
過量な内容の契約の取り消し
改正前は、事業者による不実告知や重要事項の不告知があった場合に、消費者が契約を取り消すことができる旨規定されていました。
改正法では、消費者が契約を取り消すことができる場合を拡充し、過量契約の場合にも契約を取り消すことができるようになりました。
たとえば、事業者が消費者において到底摂取仕切れない量の健康食品を販売したり、同じ健康器具を何度も販売したりした場合には、消費者が契約を取り消すことができるようになりました。
不実告知の範囲拡大
改正前は、不実告知による取り消しが認められるのは、契約の目的物の品質や性能その他取引状況に限定されていました。
改正法では、不実告知の範囲を拡充し、契約締結の判断にとって重要な事情について事実と異なる説明をした場合にも、契約を取り消すことができるようになりました。
たとえは、販売する化粧品の品質に関して不実告知をした場合だけでなく、事実に反して「このままでは肌がボロボロになってしまう」というような契約締結の判断材料について虚偽の説明した場合にも契約を取り消すことができるようになりました。
取消権の行使期間の伸長
取消権行使の期間が、契約締結後6か月から1年に伸長されました。
最後に
このように、改正消費者契約法ではより広い範囲で消費者を保護する内容となっており、事業者としては、どのような場合に契約が無効、取り消しとなってしまうのかを把握し、契約締結時に注意する必要があります。