最近、コインチェック株式会社の不正送金による流出騒動もあり、ビットコイン(BTC)の話題をよく耳にされる方も多いと思います。
BTCとは、インターネットを通じて電子的に取引される仮想通貨の一つです。
近年BTCをはじめとする仮想通貨の価格が高騰しており、「仮想通貨バブル」として、何十倍という利益を生み出している方も多くいます。
身近な方が数千万円~1億円を持っているということもあるかもしれません。
仮想通貨法施行開始
2014年に当時世界最大の仮想通貨交換所を営んでいたマウントゴックスが破綻したことが大きなニュースとなりました。
これらを受け、「決済業務等の高度化に関するワーキンググループ」にて、規制のあり方について検討が行われていましたが、仮想通貨の取引が活発となっていることも踏まえ、2016年には仮想通貨法(正確には改正資金決済法)が成立し、2017年より施行する運びとなりました。
仮想通貨法で規定される「仮想通貨」とは、
- 物品購入・サービス提供を受ける場合に、代価の弁済のために不特定のものに対して使用できるもので、かつ、不特定のものを相手方として購入及び売却ができる財産的価値で、電子情報処理組織を用いて移転できるもの
- 不特定のものを相手方として①と相互に交換を行うことができる財産的価値で、電子情報処理組織を用いて移転できるもの
のいずれかをいうとされています。
少々複雑ですが、電子マネーはここでいう①には該当しません。
加盟店でないと使えないなど、「不特定のものに対して使用できる」ものではないためです。
仮想通貨法にて規制されたということは、仮想通貨の売買などを行う交換所が登録制となるということです。
この点についての詳細は説明しませんが、仮想通貨について取引をされる場合、仮想通貨交換業の登録がなされているかについては確認すること必要です。
「仮想通貨」と表示していたとしても仮想通貨ではない場合や、仮想通貨であるとしても交換所の登録がなされていないケースもあります。
従業員の仮想通貨取引を禁止することはできるか?
一般の方が数千万円の利益を得たりするような話の中で、会社の従業員が仮想通貨取引を始めるという事例は多くあると思います。
なお、当然ですが、勤務時間中に業務を怠っている場合は、それを理由とする戒告等を始めとする懲戒処分の対象となります。
また、貸与パソコン内のデータ等のモニタリング(閲覧・監視)するためには就業規則上に、「会社は、必要と認める場合には、従業員に貸与したパソコン内のデータ等を閲覧・監視することができる。」等の規定を定めておくべきでしょう。
ただ、仮想通貨取引自体を就業規則で禁止するということは慎重になるべきでしょう。
仮想通貨取引自体は違法な行為ではなく、(原則として)企業外での行為であり、企業外での非行は原則として懲戒処分の対象とならないとされているからです(企業外非行は会社の社会的名誉・信用が害されるような場合に限って対象となるとされています。)。
ただ、仮想通貨取引は副業ということで禁止にできないかという問題はあります。
一般的には、仮想通貨取引は株やFX等と同様、資産運用の一つであることから、仮想通貨をしている=副業とまではいえないケースが多いでしょう。
しかし、投資の規模等が大きくなるような場合でそれがいわば業として行っていると判断できれば、副業として認められる場合もあるといえます。
もっとも、労働基準法上、副業を禁止して正当化されるのは、会社の職場秩序や労務提供に影響・支障があるためとされているため、会社の本来の労務が十分になされていれば、処分等をするのは難しいでしょう。
最後に
何れにせよ、仮想通貨取引自体は成長を続ける分野であると言われており、今後の業務に直接影響を与えていく可能性も高いので注目です。
ちなみに、仮想通貨取引で得た利益は、「雑所得」となり、給与所得以外に20万円以上の所得が発生する場合には、確定申告が必要となる点は注意が必要です。