従業員を雇用すると、会社は給与だけでなく各種保険料や手当を支払わなければなりません。
使用者が労働者を雇用することによって生じる費用を「労働費用」といいます。
厚生労働省による『就労条件総合調査の概況』で労働費用に関する統計が公表されていますので、令和3年版の最新の数値を見ていきましょう。
労働費用総額
令和2年会計年度の労働費用総額は、常用労働者1人あたり1か月平均408,140円となっています。
つまり、人を1人雇用すると、平均で月に約40万円程度かかるということです。
これは現金給与額はもちろん、法定福利費、法定外福利費、現物給与の費用、退職給付等の費用、教育訓練費などを含めたコミコミの数値です。
現金給与以外の労働費用
内訳を見ると、労働費用総額に占める現金給与額の割合は82.0%となっています。
それ以外は法定福利費、退職給与等の費用、法定外福利費などの「現金給与以外の労働費用」が占めています。
法定福利費
「法定福利費」とは、法律で企業が負担することが義務づけられている社会保障制度の費用をいいます。
代表的な法定福利費として厚生年金保険料、健康保険料、介護保険料、労働保険料があります。
その他に、子ども・子育て拠出金、障害者雇用納付金、法定保障費などが法定福利費に含まれます。
法定福利費の平均は50,283円で、その内訳は、厚生年金保険料が27,905円(55.5%)で最も多く、健康保険料・介護保険料が17,496円(34.8%)、労働保険料が3,695円(7.3%)が続いています。
法定外福利費
法律で義務付けられていない福利厚生関係の費用を「法定外福利費」といいます。
代表例として、住宅手当、食事手当、慶弔見舞金があります。
法定外福利費の平均は4,882円で、その内訳は、住居に関する費用が2,509円(51.4%)で最も多く、医療保健に関する費用が729円(14.9%)、食事に関する費用が493円(10.1%)が続いています
最後に
このように、人を1人雇用するためにはとてもお金がかかります。
人を雇うときには、法定福利費や法定外福利費を含めていくらかかるのか正しく把握し、必要な粗利益や売上を逆算する必要があるのです。