法人が破産を申し立てるための2つの条件とは?
破産とは、裁判所に破産を申立て、財産を全て換価し、債権者へ配当する精算手続をいいます。
破産をすると、原則として事業は停止され、従業員は全員解雇となります。
破産を申し立てるための要件として、「支払不能」と「債務超過」の2つがあります。
支払不能とは?
支払不能とは、「債務者が弁済能力の欠乏のため、弁済期が到来している債務について、一般的かつ継続的に弁済することができないと認められる客観的状態」をいいます。
「弁済能力の欠乏」は、財産、信用、あるいは労務による収入のいずれをとっても、債務を支払う資力がないことです(東京高裁昭和33年7月5日決定)。
また、「一般的に」とは、一部の債務についてのみ弁済不能な状態では足りず、全ての債務について債務者の資力が不足しているということです。
つまりは、ある特定の債務について、現時点で現金だけがなくて支払いができない場合でも、現金化できる財産によって弁済が可能である場合においては、「一般的」に弁済能力が欠乏しているとはいえません。
さらに、その状態が「継続的に」生じていることが必要です。
一時的に資金繰りができていない場合には、破産原因のいう支払不能であるとはいえません。
そして、その「一般的かつ継続的に弁済することができない状態」は、「客観的」に認められる必要があります。
つまり、経営者の主観的な判断ではなく、決算書などの資料や現実の資産、負債状況から判断されなければならないということです。
支払停止
支払不能に関して重要な用語として、「支払停止」があります。
上記の支払不能の定義の説明からも分かるとおり、判断が難しく、債権者からすれば判断しづらい概念です。
そこで、「支払停止」がある場合には、支払不能であると推定するという規定になりました。
支払停止とは、「弁済能力の欠乏のために弁済期の到来した債務を一般的、かつ、継続的に弁済することができない旨を外部に表示する債務者の行為」のことで、弁護士から債権者に対する受任通知(債務整理として委任を受けた旨の連絡)、手形の不渡りや、夜逃げなどが典型例として挙げられます。
債務超過とは?
債務超過とは、債務額の合計が資産額の合計を超過していることをいいます。
これは貸借対照表(バランスシート)上の計算において判断されますが、破産直前の会社は粉飾がなされている場合も多く、単純に判断できない場合もあります。