株式の発行による資金調達
株式発行のポイント
株式の発行による資金調達は、エクイティ・ファイナンスともいわれます。
会社法の改正により様々な株式が発行できるようになりました。
ところが、発行する株式の種類の選択や、資金調達の段階における株式発行先の選択、非公開会社の株価の設定などについては十分に検討されていないケースがあります。
議決権を制限するのか、何かあった際に会社が株式を買い取ることができるようにしておくのかなど、個々の企業のニーズに応じて採りうる株式発行の手段はさまざまです。
単純に「同族会社だから譲渡制限株式」とするのではなく、将来を見据えて判断する必要があります。
株式発行による資金調達のメリットとデメリット
株主は会社の支配権を有する
株式の発行による資金調達のメリットは、自己資本となり返還義務のない資金となることです。
しかし、株式を発行するということは、株主が株主総会において議決権を有する、つまり会社に対して意見が言える立場に立つということです。
そのため、資金の必要があるというからという安易な理由で株式を発行することは避けるべきです。
内紛の可能性
さらに、同族企業で生じうる会社内で内紛の可能性も視野に入れなければいけません。
スクイーズ・アウト(少数株主の追い出し)を検討するにしても、どのような種類の株式の発行及び発行先の選択が望ましいかの判断が必要です。株式を発行するときに考慮するべきこと
株式を発行するときには、株式発行の時期、目的、会社の事情などさまざまな要素を考慮して、メリットとデメリットを検討しなければいけません。
発行する時期が創業時なのか、成長期なのか、成熟期なのか。
株式を発行する目的は資本提携なのか、多角的経営のための資金調達なのか。
会社はいわゆる同族会社なのか、ベンチャー企業なのか、株式公開を目指す会社なのか。
株主総会の開催など、株式の発行時に法律上要求される手続をしていなかったことにより、株式発行が無効となるリスクも考慮しておかなければいけません。