ご相談企業様について
業種
食品卸売業
規模(従業員数)
1~10名
ご相談に至った経緯
すでに退職した従業員から、相当額の未払い賃金と、不当な退職勧奨にあたるとして多額の慰謝料を請求された事案です。
相手方が既に従業員が弁護士をたてていた状況でしたので、こちらも弁護士が代理人として交渉を行うことになりました。
請求額によっても異なりますが、このようなケースでは通常着手金として約30万円程度かかります。
しかし今回は、案件のご依頼と同時に月額3万円の顧問契約を締結していただくことになり、着手金は顧問料10か月分の分割支払いで充てることになりました。
解決までの流れ
受任後すぐに相手方の弁護士へ連絡をとり、根拠資料を精査したうえでこちらの主張を記載した書面を送付し、交渉を行いました。
もっとも、訴訟外の交渉は奏功せず、相手方の従業員が労働審判の申立てを行いました。
その後、3回の労働審判の期日を経て、65万円を支払うという内容で審判が下され、解決となりました。
労働審判は、通常の裁判とは異なり、弁護士に依頼している場合であっても基本的に当事者本人の出頭が必要になりますので、弁護士が代表者と一緒に期日に出廷いたしました。
労働審判での相手方の主張額は約300万円でしたので、約5分の1の額まで減額することができました。
弁護士からのコメント
昨今、労働問題についてメディアで頻繁に取り上げられていることや、インターネット上に情報が溢れていることが影響し、労働問題について知識をもった労働者は多くいます。
特に、退職後に、遡って在籍期間中の未払い賃金や残業代の請求がなされたり、各種ハラスメントを理由とする慰謝料の請求がなされたりすることが多くあります。
今回の事案も、退職時には特別揉めることはなかったようですが、退職して数日後に、未払い賃金と慰謝料の支払いを求める書面が届いたとのことでした。
未払い賃金や慰謝料の請求は、労働者が自分で請求してくることもあれば、弁護士をたてて請求してくることもあります。
また、労働者が労基署に相談したことを契機として労基署から連絡がくる場合や、いきなり労働審判や訴訟を提起されて裁判所から書類が届く場合などさまざまです。
今回は労働者側が先に弁護士を依頼しており、労働条件変更の有効性、退職勧奨の有無や適法性が争点となっていたため、専門的知識を有する弁護士が対応することが不可欠な状況でした。
労働審判は最高3回の期日が1~2週間おきに開催され、通常の裁判に比べると早期解決のメリットが大きい手続です。
今回ご相談いただいたのは従業員も少ない小規模の会社でしたので、代表者の方がこのトラブルに時間と労力を費やさないといけないことが会社にとって大きな損失になるという事情がありました。
こちらの主張が全て認められたわけではありませんが、請求額の約5分の1まで減額することができ、労働審判という比較的簡潔な手続によって早期に解決することもできました。
従業員から労働審判を申立てられてお困りの方は、たくみ法律事務所の弁護士に是非一度ご相談ください。