ご相談企業様について
業種
サービス業
ご相談に至った経緯
当事務所と顧問契約を締結していただいているクライアント企業様からのご相談です。
クライアント企業様では、店舗や自社で主催するイベント会場に多くのお客様が来場することがあります。
自然災害や火災が発生した際に会社が負う安全配慮義務は社員に対する責任だと思っていたが、最近、お客様に対する関係で安全配慮義務が認められた裁判例を見かけたため、どのような場合にどの程度の責任を負うことになるのか疑問に思った、ということでご相談いただきました。
解決までの流れ
顧問契約の特典として、メールでご相談をいただき、当日中にメールでご回答を差し上げました。
弁護士のコメント
今回のご相談には、①企業は顧客に対して安全配慮義務を負うか、②負うとしたらどの程度の責任を負うか、という2つのポイントに分けてご説明いたしました。
顧客に対して安全配慮義務を負うか
そもそも安全配慮義務とは、「ある法律関係に基づいて特別な社会的接触の関係に入った当事者間において、当該法律関係の付随義務として当事者の一方又は双方が相手方に対して信義則上負う義務」とされています。
つまり、安全配慮義務は契約締結など法律的な関係になった当事者同士が負う義務であり、労働者に対する関係でのみ発生するものではございません。
労働者との関係では、雇用契約(あるいは労働契約)に基づき社会的接触の関係に入り、雇用契約関係の付随義務として使用者が労働者に対して信義則上負う義務ということになります。
企業と契約関係にある顧客との間でも、契約の付随義務として安全配慮義務が認められることがありえます。
顧客に対する企業の安全配慮義務違反を認めた裁判例として、札幌ドームで野球観戦をしていた一般観衆がファウル・ボールに当たって失明した事案で、野球に関する知識に乏しい被害者に対する安全配慮義務を怠ったとして、球団に対して3,000万円超の賠償金の支払いを命じたものがあります。
責任割合
顧客と企業がどのような割合で責任を負うかは、過失の割合に応じてケースバイケースで判断されます。
顧客側に過失がある場合、すなわち顧客が十分な注意を払っていれば損害の発生を防ぐことができたようなケースでは、過失相殺が適用されることがあります。