エステサロンが特定商取引法(特商法)の規制対象になるのはどんなとき?

エステサロンが特定商取引法(特商法)の規制対象になるのはどんなとき?

エステ

消費者にエステティックサービスを提供する業者が注意しなければならない法律に「特定商取引に関する法律(特定商取引法、特商法)」があります。

特商法は法改正により年々規制が強化されており、かつ規制も細かく厳しいので、些細な対応の不備で大きな損害が発生するおそれがあります。

このページではエステティックサロンを経営している方を対象に、特商法の規制のポイントについて解説いたします。

特商法とは

特商法はその名の通り、商取引における特定の取引を規制しており、訪問販売や通信販売などが規制対象の典型です。

特商法の規制対象になると、書面の交付義務が発生したり、各種の禁止行為やクーリングオフなど細かい規制の対象となります

エステティックサービスにおいて特商法の規制対象となりえるのは、「特定継続的役務提供取引」です。

特定継続的役務提供取引とは

エステティックサービスを提供する取引において、どの取引が特商法の規制対象となるのでしょうか。

商品を販売するのではなく、役務を継続的に提供する契約を「継続的役務提供取引」といいます。

継続的役務提供取引のうち、特商法が定める特定の役務(指定役務)を提供する取引が、特定継続的役務提供取引として規制の対象となります。

特商法で定められている役務(指定役務)は、以下の7つです(正確には、「国民の日常生活にかかる取引において有償で継続的に提供される役務」である必要がありますが、通常の下記の役務であれば当然これに該当します。)

  1. エステティックサロン
  2. 美容医療サービス
  3. 語学教授
  4. 家庭教師等
  5. 学習塾等
  6. パソコン教室
  7. 結婚相手紹介サービス

そして、それぞれ政令で定められた期間を超えて提供し、かつ政令で定められる金額を超える金銭を支払う契約である必要があります。

それぞれの指定役務における指定期間と指定金額は次のとおりです。

指定役務 指定期間 指定金額
①エステティックサロン 1か月超 5万円超
②美容医療サービス 1か月超 5万円超
③語学教授 2か月超 5万円超
④家庭教師等 2か月超 5万円超
⑤学習塾等 2か月超 5万円超
⑥パソコン教室 2か月超 5万円超
⑦結婚相手紹介サービス 2か月超 5万円超

つまり、エステサービスも2週間程度の契約であったり、合計額が3万円であったりした場合には、特商法による規制の対象外となります(ただし、この場合も消費者取引法上の規制対象となる可能性はありますのでご注意ください。)

エステティックサロンに対する規制

エステティックサロンで行われているサービスには様々がありますが、特商法の定義では「人の皮膚を清潔にし若しくは美化し、体形を整え、又は体重を減ずるための施術を行うこと」とされており、美顔、全身美容、痩身、体型補正、脱毛などが対象となります。

美容師や理容師が美顔等のエステティックサービスを提供する場合は、当然、特商法上の適用対象となります。

ちなみに理容は適用対象外とされています。

期間についての注意点(エステティックサービスでは1か月超)

指定期間は、契約条件において役務提供の開始日と終了日が定められていればその期間が前提されます

開始日の規定がない場合は、通常、契約締結日から起算することとなります。

エステティックサービスではチケット制やポイント制が採用されることも多いですが、その場合には、有効期限を前提に判断し、有効期限の記載がない場合には期限がないものとして、指定期間を超えたものと判断されます。

また、3週間を期間として設定して期間満了時に再度契約締結をする場合には、指定期間を超えないものとして特商法上の規制の対象外とされます。

もっとも、自動更新(特に理由がない限り更新する場合など)とされていると実質的に指定期間を超えた契約であると判断される可能性があるので要注意です。

金額についての注意点(エステティックサービスでは5万円超)

エステティックサービスにおいては、単に施術費のみならず、入会金、化粧品や健康食品代金などを支払う場合も多くあります。

5万円を越えているかどうかは、基本的に契約総額で判断されるとしています。

最後に

特商法の規制に違反すると行政処分でエステサロンの名称が公表されてしまい、イメージの悪化を招くおそれがあります。

また、特商法の規制をしっかり守ることでお客様の信頼が上がり、健全なサロン経営ができるようになります。

特商法の規制についてお困りのエステティックサロンの経営者様は、お気軽に弁護士にご相談ください。

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