ご相談企業様について
業種
飲食業
規模(従業員数)
1~10名
ご相談に至った経緯
前月に退職した従業員から、約300万円の未払い賃金・残業代の支払いを求める労働審判申立書が届きました。
第1回目の労働審判の期日は自分で対応したものの、専門的な話が多く、自分では対応できないと判断し、弁護士に全ての対応を依頼したいとのことでご来所いただきました。
解決までの流れ
今回の事案では、初回にご来所いただいた時点で既に労働審判第1回目の期日が終了し、第2回目が迫っていました。
そこで、ご依頼いただいた後すぐに準備書面の作成にとりかかりました。
事情をお伺いしたところ、申立人となった従業員が退職する前から社内でトラブルがあり、従業員が突然出社せず連絡も取れなくなったため最終の給与の支払いができていなかったとのことでした。
また、高額の残業代が請求されていましたが、タイムカードを確認したところ、タイムカードが空白となっている部分や手書きで記載されている部分も多く、記載された時間内も無断で私用のために外出していることも多くあったとのことでした。
そこで、実際に申立てを行った従業員が就労した分については給与を支払う意思があること、他方で、残業代については支払う意思がないこと、その理由について詳細な書面を作成しました。
また、代表者の意見を述べる陳述書も作成し、提出いたしました。
書面の作成及び打ち合わせを経て、代表者と一緒に第2回の期日に臨みました。
その結果、申立人自身もタイムカードの記載がでたらめであることを認め、第2回期日において、残業代についておおよそこちらの主張が認められる内容での調停が成立しました。
弁護士からのコメント
退職した従業員が未払い賃金や残業代の支払いを求める労働審判を申し立てることは珍しくありません。
労働審判は通常の裁判とは異なり、お互いの言い分を確認したうえで、最高3回の期日で解決を図る手続で、早期解決のメリットが大きい手続です。
弁護士に依頼せず個人で申し立てることもできますので、その場合にはある意味で対等な立場といえますが、申立人が弁護士を立てている場合には会社側も弁護士に依頼することを強くお勧めいたします。
労働審判は通常の裁判とは異なるものの、お互いの主張を法律に従い整理し妥当な解決を図るための手続です。
裁判所は中立的な立場で判断する必要がありますので、一方に弁護士がついていないからといって、親切に法律のことを教えてくれるわけではありませんし、主張や反論の仕方や提出すべき有利な証拠を教えてくれるわけではありません。
弁護士を立てて申立てを行ってきた申立人と対等な立場で争っていくためには、弁護士を立てることが不可欠なのです。
今回は、第1回目の期日は代表者本人が対応されていましたが、いざ期日に出てみると申立人側の弁護士から専門的な話がなされたため、限界を感じ、弁護士に対応を依頼することを決意してご相談にご来所いただいたようです。
すでに説明したとおり労働審判は最大で3回の期日しかありませんし、第1回目でお互いの全ての言い分を聴取し証拠を提出することを予定していますので、第1回目の期日が最も重要です。
弁護士と相談し、しっかりと準備を整えたうえで第1回目の期日に臨まなければなりません。
労働審判を申したてられたという方は、是非、第1回期日の前に余裕をもってご相談ください。